Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みらいのてんさい

未来の天才

豊島 与志雄

Lesen Sie 未来の天才 (みらいのてんさい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.630 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

幾度読んでも同じだった。「謹啓益々御多祥……」云々という例のきまり文句が真先に出て来たが、「平素充分の事も出来不申汗顔の至り……」などと妙に卑下した調子に変ってるのも可笑しかった。私は父の死後、国許の母から毎月四十円ずつの生活費を送って貰うことになっていたが、それでは到底足りないので、時々伯父へ幾何かの補助を願っていた。それをいつも文句なしに送ってくれる伯父は、汗顔の至り所ではなかったのであるが、私には、伯父がそう書いた気持ちがよく分るような気がした。「此度意外の利得有之、其喜を貴下にも分たんが為、五百円送付候に付、年玉としては余りに時期後れの感あれど、兎に角受納被成度……」と書いていった時の伯父の得意げな大様な顔付を、私は眼に見るような気がした。実際、新緑の侯になってからお年玉もないものだけれど、平素私を実子のように愛してくれてる伯父からの贈物だから、私もお年玉として無条件に受納する心になったのだった。が伯父の方には愉快な条件が一つついていた。「生活費其他無用の使途」に当てずに、勉強のために使って、「一時も早く成功有之度」としてあった。生活費を無用な費へのうちに一括したのも面白かったし、芸術家たる私に向って成功しろというのも面白かった。