Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほんじょまつざかちょう

本所松坂町

尾崎 士郎

Lesen Sie 本所松坂町 (ほんじょまつざかちょう) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.622 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

烏帽子のふち金で辛うじて眉間に迫った切先をうけとめたものの、しかし頭から吹き出る血は早くも顔に流れ、浅黄の紋服に沁みわたった。上野介がよろよろと立ちあがろうとしたとき、つづく二の太刀がうしろから袈裟がけに肩を目がけてうちおろされたが、とたんに上野介が逃げるように前へのめったので、その隙にうしろから梶川与三兵衛に抱きとめられた。

「殿中でござるぞ、御乱心めさるな」

忠臣蔵では此処が大立ち廻りになり見せ場になるのであろう。

「お放し下され、武士のなさけじゃ」

城内は煮えかえるようなさわぎである。その日の裁断は即決をもって行われた。内匠頭は即刻、奥州一ノ関の城主田村建顕に身柄をあずけられ、城中、時計の間に監禁されたが、当然老中会議が行われた上で罪科が決定するものと予想されていたにも拘わらず、将軍綱吉の一存によってその日の中に切腹が申し渡された。理由は勅使饗応の大任を帯びている身でありながら宿意をもって殿中を騒がしたる段不届至極であるというのである。民衆の同情は忽ち翕然として内匠頭にあつまった。

もし上野介が殿中で横死していたとしたら内匠頭に対する同情はこれほどごうごうと湧き起ることもなかったであろう。