Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほんじょまつざかちょう

本所松坂町

尾崎 士郎

Lesen Sie 本所松坂町 (ほんじょまつざかちょう) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.622 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

「何というむごたらしい、――あの御老体をそのように寄ってたかって」

老人たちは話に聴き入りながら、手を合せたり珠数をつまぐったりした。なさけぶかい御領主さまにつきまとった四十七人の浪士は鬼畜にもひとしい男たちであった。

「それで、どうした、藤作は?」

威勢のいい男が腕まくりをして気色ばんだ。「藤作だけは、まさかおめおめとやられはすまい」

「惜しいことをなされました、前の夜の酒で、ぐっすりと寝込んでいなされ、寝巻の上から袴をはいたままとびだしてゆかれましたが、あの晩、敵を正面から引きうけて闘われたのは藤作様と小林様くらいのものでございましょう」

清水一学を子供の頃からよく知っている四十すぎた女中が悲しそうな声でいった。女中たちはみんな押入の中や縁の下でふるえていたのだ。清水一学の働きぶりについて彼女たちが知るよしもなかったが、あとからの噂によると一学だけは小林とならんで吉良家のために気を吐いた勇者であることが江戸市中にも知れわたった。しかし、上野介に浴せかける嘲罵の声はもう村境までひたひたと迫っている。おくれて江戸から帰ってくる連中も、三州吉良の住民だというと、もう誰からも本気で相手にはされなかった。