Japanische Klassiker mit Furigana
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ほんじょみぞれがし
本所霙河岸
山本 周五郎
Lesen Sie 本所霙河岸 (ほんじょみぞれがし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.115 Zeichen · 24 Bildschirme
「老人なにか熱心にお話の様子でしたな」
千之助は微笑しながら、
「先生の御在世中からお世話にもなっていますし、また真実この道場のためには本気で心配してくださるのだが、どうも老人の独り合点が多くて迷惑なこともございます、――今日はなにを話しておられました」
「あなたは御存じのはずでしょう……」
「拙者の知っていること、というと数寄屋を建てるお話ですか」
「――――」
松枝は黙って千之助を見た。――千之助の眼は眩しそうに庭のほうへ外れた。
「ああ、もう梅もおしまいですね」
内門人の相良伝十郎というのが顔色を変えて走って来た。
「御師範代――ちょっと」
「なんだ」
「いま玄関へ……」
耳へ口を寄せてなにか囁くと、千之助の秀でた眉が険しく寄った。
そして二人は足早に去った。
松枝はそれに眼もくれず、黙って庭へ下りて行った。すると、待っていたように、水屋へ通ずる袖垣の陰から女中のお繁が現われ、
「お嬢さまとうとうお話が出ましたですね」
と側へ寄って来た。
「おまえ聴いていたのかえ」
「様子が変でしたからきっとそうだろうと思ってここで聴いていました、まさかお嬢さまは御承知遊ばすのではございますまいね」