Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅにっき
朱日記
泉 鏡花
Lesen Sie 朱日記 (しゅにっき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.583 Zeichen · 28 Bildschirme
足許には、人も車も倒れている。
とある十字街へ懸った時、横からひょこりと出て、斜に曲り角へ切れて行く、昨夜の坊主に逢った。同じ裸に、赤合羽を着たが、こればかりは風をも踏固めて通るように確とした足取であった。
が、赤旗を捲いて、袖へ抱くようにして、いささか逡巡の体して、
「焼け過ぎる、これは、焼け過ぎる。」
と口の裡で呟いた、と思うともう見えぬ。顔を見られたら、雑所は灰になろう。
垣も、隔ても、跡はないが、倒れた石燈籠の大なのがある。何某の邸の庭らしい中へ、烟に追われて入ると、枯木に夕焼のしたような、火の幹、火の枝になった大樹の下に、小さな足を投出して、横坐りになった、浪吉の無事な姿を見た。
学校は、便宜に隊を組んで避難したが、皆ちりちりになったのである。
と見ると、恍惚した美しい顔を仰向けて、枝からばらばらと降懸る火の粉を、霰は五合と掬うように、綺麗な袂で受けながら、
「先生、沢山に茱萸が。」
と云って、長けるまで莞爾した。
雑所は諸膝を折って、倒れるように、その傍で息を吐いた。が、そこではもう、火の粉は雪のように、袖へ掛っても、払えば濡れもしないで消えるのであった。