Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅにっき
朱日記
泉 鏡花
Lesen Sie 朱日記 (しゅにっき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.583 Zeichen · 28 Bildschirme
その貴方様、水をフト失念いたしましたから、精々と汲込んでおりまするが、何か、別して三右衛門にお使でもござりますか、手前ではお間には合い兼ね……」
と言懸けるのを、遮って、傾けたまま頭を掉った。
「いや、三右衛門でなくってちょうど可いのだ、あれは剽軽だからな。……源助、実は年上のお前を見掛けて、ちと話があるがな。」
出方が出方で、源助は一倍まじりとする。
先生も少し極って、
「もっとこれへ寄らんかい。」
と椅子をかたり。卓子の隅を座取って、身体を斜に、袴をゆらりと踏開いて腰を落しつける。その前へ、小使はもっそり進む。
「卓子の向う前でも、砂埃に掠れるようで、話がよく分らん、喋舌るのに骨が折れる。ええん。」と咳をする下から、煙草を填めて、吸口をト頬へ当てて、
「酷い風だな。」
「はい、屋根も憂慮われまする……この二三年と申しとうござりまするが、どうでござりましょうぞ。五月も半ば、と申すに、北風のこう烈しい事は、十年以来にも、ついぞ覚えませぬ。いくら雪国でも、貴下様、もうこれ布子から単衣と飛びまする処を、今日あたりはどういたして、また襯衣に股引などを貴下様、下女の宿下り見まするように、古葛籠を引覆しますような事でござりまして、ちょっと戸外へ出て御覧じませ。