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Japanische Klassiker mit Furigana

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おうかをよめるく

杉田久女随筆集

杉田 久女

Lesen Sie 杉田久女随筆集 (おうかをよめるく) von 杉田 久女 (すぎたひさじょ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.273 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

澎湖島では毎日上陸して千人塚を見物し名物の西瓜を買って船へ帰ったりした。漸くの思いで台中港へ着き、河を遡って台南の税関へついた。そこで始めて日本人の税関長からあたたかい歓迎をうけ西洋料理の御馳走をうけたりパイナップルを食べたりした。心配した弟の体も却って旅馴れたせいか変った様子もなく頗る元気であった。

台南から目的地の嘉義県庁迄はまだ陸路を取って大分這入らねばならなかった。困難はそこからいよいよ始まった。汽車は勿論なし土匪は至るところに蜂起しつつあった物騒な時代で、沢山な荷物とかよわい女子供許りを連れて愈々危地へ入って行く父の苦心は如何許りで有ったろうか。私たちは土人の駕籠に乗せられて、五里ゆき三里行き村のあるところに行っては泊り朝早く出て陽のある中に城下へ辿りつくという風に様々な危ない旅をしたのであった。ある時には青田の続いた中をトロで走り、或時は一里も二里も水のない石許りのかわいた磧を追っかけられる様に急ぎ、又時には強い色の芥子畑や、わたの様な花の咲く村を土人の子供に囃されつつ過ぎた事もあり、行っても行っても、今の様な磧の(或場所の石を積み上げてあるところなどは土匪でも隠れてはしないかと危ぶみ怖れつつ)果てに雲の峰が尽きず村も三里も五里もない様な処もあった。