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Japanische Klassiker mit Furigana

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むらいちょうあんないれのからかさ

村井長庵記名の傘

国枝 史郎

Lesen Sie 村井長庵記名の傘 (むらいちょうあんないれのからかさ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.794 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

「いやいやそれにも事情がござる。今お話しした金三郎が、一人ヤキモキ気を揉んで、殿へ取りなし致し居る由、しかるに殿にはご明君なれど酒癖あってご癇癖。自然いつもご機嫌悪く、申し出る機会がないとのこと、再三金三郎よりの消息でござる」

「しかしそいつは些面妖、疑わしい点でござりますなあ。これが一年や半年なれば、そう諦らめても居られましょうが、何と申しても五年の月日が流れて居るのではござりませぬか。その長い五年間には、お殿様にもご機嫌よく、家来共の言葉を快くお聞きなさる時もござりましょうに。そういう場合にお取りなししたら、何の困難い障害もなく、帰参が適うに相違ござりませぬ。……今日までご帰参の適わぬは、そのご朋友の金三郎様が、お取りなしせぬからに相違ござりませぬ」

長庵は意気込んで云ったものである。

「実は拙者も折々は、そのように思わぬこともないが、そういう考えの出る時には努めて消そうと試みて来ました。と云うのはこの拙者、これまで人に怨まれるような、悪事を致した覚えがなく、金三郎とて真人間のこと、恩を忘れるはずはない。おっつけ殿からの使者が来て、芽出度く帰参が適うものと、確く信じて居るからでござるよ」