Japanische Klassiker mit Furigana
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とうかいどうごじゅうさんつぎ
東海道五十三次
岡本 かの子
Lesen Sie 東海道五十三次 (とうかいどうごじゅうさんつぎ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.849 Zeichen · 28 Bildschirme
「近頃、珍らしい感心な青年だ」と褒めた。
主人は地方の零落した旧家の三男で、学途には就いたものの、学費の半以上は自分で都合しなければならなかった。主人は、好きな道を役立てて歌舞伎の小道具方の相談相手になり、デパートの飾人形の衣裳を考証してやったり、それ等から得る多少の報酬で学費を補っていた。かなり生活は苦しそうだったが、服装はきちんとしていた。
「折角の学問の才を切れ端にして使い散らさないように――」
と始終忠告していた父が、その実意からしても死ぬ少し前、主人を養子に引取って永年苦心の蒐集品と、助手の私を主人に譲ったのは道理である。
私が主人に連れられて東海道を始めてみたのは結婚の相談が纏まって間もない頃である。
今まで友だち附合いの青年を、急に夫として眺めることは少し窮屈で擽ばゆい気もしたが、私には前から幾分そういう予感が無いわけでもなかった。狭い職分や交際範囲の中に同じような空気を呼吸して来た若い男女が、どのみち一組になりそうなことは池の中の魚のように本能的に感じられるものである。私は照れるようなこともなく言葉もそう改めず、この旅でも、ただ身のまわりの世話ぐらいは少し遠慮を除けてしてあげるぐらいなものであった。