Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうかいどうごじゅうさんつぎ

東海道五十三次

岡本 かの子

Lesen Sie 東海道五十三次 (とうかいどうごじゅうさんつぎ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.849 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうですね。じゃ、まあ、ほんとに久し振りに行ってみましょうか」

と答えた。そう言いかけていると私は初恋の話をするように身の内の熱くなるのを感じて来た。初恋もない身で、初恋の場所でもないところの想い出に向って、それは妙であった。私たちは翌朝汽車で桑名へ向うことにした。

朝、ホテルを出発しようとすると、主人に訪問客があった。小松という名刺を見て主人は心当りがないらしく、ボーイにもう一度身元を聞かせた。するとボーイは

「何でもむかし東海道でよくお目にかかった作楽井の息子と言えばお判りでしょうと仰っしゃいますが」

主人は部屋へ通すように命じて私に言った。

「おい、むかしあの宇津で君も会ったろう。あの作楽井の息子だそうだ。苗字は違っているがね」

入って来たのは洋服の服装をきちんとした壮年の紳士であった。私は殆ど忘れて思い出せなかったが、あの作楽井氏の人懐っこい眼元がこの紳士にもあるような気がした。紳士は丁寧に礼をして、自分がこの土地の鉄道関係の会社に勤めて技師をしているということから、昨晩、倶楽部へ行ってふと、亡父が死前に始終その名を口にしていたその人が先頃からこの地へ来てNホテルに泊っていることを聴いたので、早速訪ねて来た顛末を簡潔に述べた。