Japanische Klassiker mit Furigana
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りゅうえいひろくかつえぐら
柳営秘録かつえ蔵
国枝 史郎
Lesen Sie 柳営秘録かつえ蔵 (りゅうえいひろくかつえぐら) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.933 Zeichen · 27 Bildschirme
グイと引いたのが自ずと解けて、手拭いには結び玉が出来なかった。
「小手調べはこれで済んだ。お次は本芸の水術だ。……ここに大きな盃洗がんある。盃洗の中へ水を注ぐ」
こう云いながら鬼小僧は、足下に置いてあった盃洗を取り上げ、グイと左手で差し出した。それからこれも足元にあった、欠土瓶をヒョイと取り上げたが、ドクドクと水を注ぎ込んだ。
「嘘も仕掛けもねえ真清水だ。観音様の手洗い水よ。さてこの中へ砂糖を入れる」
懐中から紙包みを取り出した。
「さあ誰でもいいちょっと来な。この砂糖を嘗めてくんな」
「ああ俺らが嘗めてやろう」
一人の丁稚が飛び出して来た。ペロリと嘗めたがニヤニヤ笑い、
「やあ本当だ、甘え砂糖だ」
「べらぼうめエ、あたりめエよ。辛え砂糖ってあるものか。……そこで砂糖を水へ入れる。と、出来るのは砂糖水。これじゃア一向くだらねえ。手品でも何でもありゃアしねえ。そこでグッと趣向を変え、素晴しい物を作ってみせる」
パッと砂糖を投げ込んだ。と盃洗の水面から、一団の火焔が燃え立った。
ドッと囃す見物の声、小銭がパラパラと投げられた。
盃洗の水をザンブリと覆け、鬼小僧はひどく上機嫌、ニヤリニヤリと笑ったが、