Japanische Klassiker mit Furigana
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りゅうえいひろくかつえぐら
柳営秘録かつえ蔵
国枝 史郎
Lesen Sie 柳営秘録かつえ蔵 (りゅうえいひろくかつえぐら) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.933 Zeichen · 27 Bildschirme
「さあこれからどうしたものだ。せめて首だけでも葬ってやりてえ。……それにしても一体この侍、どういう身分の者だろう。何だか悪人たア思われねえ。……お杉様と云ったなア誰の事だろう? まさか浅草の赤前垂、お杉ッ子じゃアあるめえが。……まあそんなこたアどうでもいい。さてこれからどうしたものだ」
鬼小僧はちょっと途方に暮れた。
夜をかけて急ぐ旅人でもあろう吾妻橋の方から人が来た。
「うかうかしちゃアいられねえ。下手人と見られねえものでもねえ。よし」と云うと鬼小僧は、侍の片袖を引き千切り、首を包むと胸に抱き、ドンドン町の方へ走っていた。
数日経ったある日のこと、東海道の松並木を、スタスタ歩いて行く旅人があった。他でもない鬼小僧で、首の包みを持っていた。
「葬り損なって持って来たが、生首の土産とは有難くねえ。そうそうこの辺りで葬ってやろう。うん、ここは興津だな。海が見えていい景色だ。松の根方へ埋めてやろう。……おっと不可ねえ人が来た。……ではもう少し先へ行こう」
で、鬼小僧は歩いて行った。
爾来十数年が経過した。
その頃肥前長崎に、平賀浅草という蘭学者があった。傴僂で片眼で醜かったが、しかし非常な博学で、多くの弟子を取り立てていた。