Japanische Klassiker mit Furigana
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えいぞうのし
栄蔵の死
宮本 百合子
Lesen Sie 栄蔵の死 (えいぞうのし) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.295 Zeichen · 77 Bildschirme
翌日の夕方政はやって来た。
絹の重ね着をして、年よりずっとはでな羽織を着、籐表ての駒下駄を絹足袋の□にひっかけて居る。
強い胡麻塩の髪をぴったり刈りつけて、額が女の様に迫って頬には大きな疵がある政の様子は、田舎者に一種の恐れを抱かせるに十分であった。
栄蔵の枕のわきに座って、始めは馬鹿丁寧に腰を低くして、自分の出来るだけは勉強しようの、病気はどんな工合だなどと云いながらそれとなく家内を見廻して、どうしても今売らなければならない羽目になって居る事を見きわめる。
そして彼特有のずるい商法が行われるのである。
栄蔵は、木なりを見て来た「政」に、年も食って居る事だし、虫もついて居ないのだから、廉く見つもっても七八十円がものはあると云った。
仔細らしくあの枝を見、この枝を見して「政」はこの木はどう見ても、三四十円ほか値打ちがないと云い張った。
この木の肌を見ろの、枝の差しぶりを見ろのと立派な理屈――「栄蔵は木なりを見る目が利かない男だ」をならべたてて、私が出来るだけ出して五十円だと云い切った。
「それに何ですよ貴方、
町方なら斯う云う木もどんどん出ましょうがここいらではそう行きませんからねえ。