Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けいまのげんそう

桂馬の幻想

坂口 安吾

Lesen Sie 桂馬の幻想 (けいまのげんそう) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.784 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

と野村は木戸をうながしたが、彼は考えこんでいるばかりで返事をしない。やがて歩く足もとまってしまった。

「どうしたんだい? 娘の顔の四五桂のつづきを読んでるわけじゃアあるまいね」

と冷やかすと、意外にも、木戸は真顔でそれに答えて、

「えゝ。それなんです。その四五桂を読んでるのですよ。ボクがとッさに四五桂と読んだのは気のせいではありません。瞬間ですが、ボクはその顔を読み切ったのです。絶対なんです。盤面を読み切った感じ、それですよ。ボクの盤面の四五桂は錯覚でしたが、娘の顔に読み切った四五桂は錯覚ではありません」

「すると娘は将棋の神様かね」

「そういう意味じゃアないんです。将棋とは関係なしにですよ。ですから、あの四五桂が将棋以外の何を意味しているかと考えているのです」

「キミの四五桂に当るものが娘の何に当るかという意味だね」

「そうですね。ボクの四五桂は錯覚でしたが、錯覚でない四五桂の場合ですね。それと娘との関係です。感じというヤツですけど、きっと何かがあるのです。ね。戻ってみましょう。何か感じることがあるかも知れません」

「対局中の異常心理のせいだよ」

「いえ、それと関係ないですよ。