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Japanische Klassiker mit Furigana

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とうりんどうのさとうづけ

桃林堂の砂糖づけ

中谷 宇吉郎

Lesen Sie 桃林堂の砂糖づけ (とうりんどうのさとうづけ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.306 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

この話は、サラ・リイの主人には、非常に意外らしかった。年間を通じて、毎日トラック八十台のフルーツ・ケーキをつくっているのにくらべては、あまりにも時代ばなれのした話である。「どうして、保存の方法を考えないのか」というのが、最初の質問であった。

「桜んぼうが、一番むつかしいが、あれでも濃いブラインにつけておけば、一年は充分もつ。それをよく洗って使えば、大丈夫ですよ」

「しかし香気はなくなりましょう」

「もちろん、香気はつけなきゃあ。非常によい香料が出来ていますから」

「色の方は、どうでしょう」

「色はよく抜けているから、新しく着色するのは容易です」

こういう問答をしているうちに、大きい手編みのざるに、いろいろなものの砂糖づけを一杯ならべて、娘さんが、しずしずと現われた。その中から、一片ずつを白紙にとりわけて、この主人は鄭重に、来客の前にそれをさし出した。新しい抹茶がまた運ばれてきた。

大橋さんが、あんなに褒めていたので、期待をもって、試食してみたが、なるほど褒めるだけの値打ちはある。蕗にも、わらびにも、ちゃんと春の香気が浸みこんでいる。歯をあてた瞬間に、その香気が、口いっぱいにひろがり、それぞれの野菜の新鮮な香りが、そのままである。