Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

つちのなかからのはなし

桜の森の満開の下

坂口 安吾

Lesen Sie 桜の森の満開の下 (つちのなかからのはなし) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

又長い疲れに似た、光の射し込まない部屋のような退屈が、雨の降る海からも洋々と溢れてきた。

生きる気が無くなったのではないのであるし、それに生きるとか、死ぬとか、差当ってそれを考えてみたわけでもないのに、その夜、催眠薬を多量にのんだ。自殺者は往々最も生きたい奴だと昔彼は考えたのだが、自分のような奴は殊にその一人であったらしいと思った。薬をのんでから、彼は一時はひどく逆上してしまってぼんやりするほど混雑したり、むやみに苦笑したり、時には泣き出したり、それに色々なことをめまぐるしく考え出したのであるが、自殺者は別に勇気があるわけでさえない、無論、どう考えてみても是を気取れる筋合のものではないが、併し自殺者は必ずしも莫迦だとは結局思えなかった。どっちみち、無駄な考えごとである。

小笠原は微笑したいほどの遥かな愛情をもって、沢山の麻油や孤踏夫人や又その愛撫を思い出しもしたのであるが、親愛なるものに訣別したがるかたくなな寂寥は、やはりその時も有るには有ったらしい。とにかく、小笠原は死んだ。

翌日布団をはずれて、材木のように転っていた。

それから一月あまり過ぎたが、痴川は伊豆に逢うことがなかった。