Japanische Klassiker mit Furigana
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つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
Lesen Sie 桜の森の満開の下 (つちのなかからのはなし) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme
働き者をとられるとその日から暮しにこまるという理由で五十円の結納金、結婚後は月々十円の扶助料という条件をお綱の母親がもちだした。一歩もひこうとしなかった。
禅僧は思案にくれたあげく、医者のところへ金策にでむいた。医者の方では愈坊主も発狂したんじゃあるまいかと薄気味わるくなったぐらいのものである。
「いったい貴方、それは正気の話ですか?」
と、遠慮を知らない医者がずけずけ言った。
「あの女は金のいらないだるまですぜ。あの女がたった一人いるおかげで、この村の若者や親爺どもは、だいぶ不自由をしのぎいいし金もかからないと喜んでいますよ。あの女の不身持ちが普通のものじゃないことは、お分りだろうと思いますよ。結婚という名目であの身体が独占できると思いますか? 況んやあいつの精神が? 野獣にも精神があるというならあの女にも精神はあるでしょうが、仏力で野獣が済度できますかな。五十円の結納金。十円の扶助料。きいただけでも莫迦々々しい!」
「獣が獣に惚れたんですよ。私だって貴方の想像もつかない獣ですよ。とにかく獣の方式でここをひとつやりとげてみようと思ったわけですな。やらない先に後悔してはいけなかろうと思うのですよ」