Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいかのきひん
梅花の気品
豊島 与志雄
Lesen Sie 梅花の気品 (ばいかのきひん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.397 Zeichen · 5 Bildschirme
この地上に在っては、その本来の面目を汚されるというのではないが、そこに在るにはあまりに清らかすぎる。然しながら、それを地上に引下して、己が所有とした所に、人の魂の朗かさがある。地上から天上へと人の魂がかけ渡した、多くの橋梁のうちの一つが、其処にあるとも云い得らるる。それ故に、気品は一の抽象であって、一の具象ではない。随って気品は、如何なる人にも親しまれ易い。
梅花の感じは気品の感じである。けれども梅花は、一の抽象ではなくて具象である。それ故に人に親しまれ難い。余りに芳ばしい香を漂わせ、余りに凛乎たる気魄を示し、余りに清らかな色彩に成り、余りに妙味ある樹に咲くが故に、人間離れのした感じを以て人を郤けがちである。然しながら、梅花に眸を定めその香に心を澄すことは、必ずしも詩人にとってばかりではなく、普通の吾々にとってもよい。なぜならばそれは、地上の息吹きに天上の息吹きを交えることだからである。新たな心を以て梅花に接し、新たな心を以て梅花に親しむことは、梅花に人間味が少いが故に益々、梅花が天上的であるが故に益々、人間にとってよいのである。
この意味に於て、真に梅花を観るには、雑沓の巷や、広い梅林や、人工的な盆栽や、または月明の夜、などよりも寧ろ、自由な清々とした境地に於てがよい。