Japanische Klassiker mit Furigana
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もりのようき
森の妖姫
小川 未明
Lesen Sie 森の妖姫 (もりのようき) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.457 Zeichen · 5 Bildschirme
あれ、彼処に我が兄子の、狩の扮装をして野原に馳せて行きやる。あれ、馬から落ちられた。
ああ、血潮を浴びて、白羽の矢が額を射貫したわいのう。
水に映る白雲の、いつしか消えてしまった。西の夕焼あかあかと、
木々の葉風の怪しく光る。
許してたもれ! 許してたもれ! 暴風雨よ疾く天つ日の光りを掩えかしと魔女は森の中に駆け込んだ。天日遽かに掻き曇って、湖面の水黒く渦巻き返える。疾風は林を掠め、森を掠め、野を掠め、雲乱れて飛び、蜩の泣声止んで、寂寞として天地は静まりかえった。青年画家は麓を志して道をいそいだが、後方の山を越えて、千軍万馬の襲い来る鉄蹄の響きや、馬の嘶をきいた。忽ち雨やら、風の物音が耳許を襲う。それぎり青年画家の行衛は知れなくなってしまった。その夜は近隣の村々に黒風、白雨は猛りに猛り狂いに狂った。その明くる日は、大空は拭うたように晴れ渡って、朝日影が麓の家々の白壁に落ちる、熱さは一入加わって、蜩の声は汗をしぼるがように、野や、森や、並木や、雑木林に聞かれた。その後暫らく、魔女は姿を見せなくなった。今でも物静かなる琵琶池には画筆や、カンバスなどが浮いている時があるが、人が近づくと沈んでしまうそうな。