Japanische Klassiker mit Furigana
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せいかけんざっき
棲霞軒雑記
上村 松園
Lesen Sie 棲霞軒雑記 (せいかけんざっき) von 上村 松園 (うえむらしょうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.211 Zeichen · 15 Bildschirme
私を悦ばせてくれるのなら、ねがわくば一椀の粥に一片の香の物を賜われよ、と門人衆をいましめた話を憶い出しながら私は久しぶりに微笑ましい気持ちを抱いて我が家へ帰ったのである。
私の七つか八つの頃のことである。
母と一緒に建仁寺へ行ったとき、両足院の易者に私の四柱を見てもらったことがある。
四柱というのは、人の生まれた年・月・日・時刻の四つから判断して、その人の運勢を見る法なのである。
易者は私の四柱をしらべていたが、
「こらえらいええ四柱や、この子は名をあげるぜ」
と言った。母は大いに悦んで、易者に、
「おおきに、おおきに」
と何遍も頭をさげていたのを覚えている。
私はたいてい女性の絵ばかり描いている。
しかし、女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。
一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香り高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである。
その絵をみていると邪念の起こらない、またよこしまな心を持っている人でも、その絵に感化されて邪念が清められる……といった絵こそ私の願うところのものである。
芸術を以て人を済度する。
これくらいの自負を画家は持つべきである。