Japanische Klassiker mit Furigana
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かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
Lesen Sie 棺桶の花嫁 (かんおけのはなよめ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.845 Zeichen · 86 Bildschirme
眉を青々と剃りおとした女の眼は、提灯のように大きかった。
杜は、この女が気が変でないことに気がついた。それで駈けよってみると、なるほど女の身体にはどこも障りがないようではあるが、只一つ、左の手首が、倒れた棟木の下に入っていて、これがどうしても抜けないのであった。
彼は女の背に廻って、その太い腕をつかんで力まかせにグイと引張った。
「いた、た、た、たたッ。――」
と女は錐でもむような悲鳴をあげた。
杜は愕いて、手を放した。
女は一方の腕をのばして、杜の洋服をグッとつかんだ。
「待って、待って。……あたしを見殺しにしないで下さいよォ、後生だから」
杜は、またそこに跼んで、棟木の下に隠れている女の手首を改めた。なんだか下は硬そうであるが、とにかくその下を掘り始めた。
「だ、駄目よ。手の下には、かねのついた敷居があるのよ。掘っても駄目駄目。……ああ早く抜けないと、あたし焼け死んじまう」
なるほど、露地の奥から火勢があおる焦げくさい強い熱気がフーッと流れてきた。たしかに火は近づいた。彼は愕いてまた女の腕に手をかけ、力を籠めてグイグイと引張った。女はまた前のように、魂切れるような悲鳴をあげた。