Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かんおけのはなよめ

棺桶の花嫁

海野 十三

Lesen Sie 棺桶の花嫁 (かんおけのはなよめ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.845 Zeichen · 86 Bildschirme

Aozora Bunko

女の眼には、泪がいっぱい、溜っていた。

「――すみません。あたしが気が利かないで。――」

「なァに、そんなもの、なんでもありゃしない」

杜はまた先に立って、焼野原の間を歩きだした。

(どうも、困った女だ)

と、彼は心の中で溜息をついた。この分では、この年増女房は、どこまでも彼の後をくっついて来そうに思われた。なぜ彼女は、どこかへ行ってしまわないんだろう。

彼女が臆病なせいだろうか。一家が焼け死んだと思っているからだろうか。それとも彼が倒壊した棟木の下から手首を抜いてやって、彼女の一命を助けてやったためだろうか。

そんなことが、何だというのだ。

そのとき杜は、昨夜の出来ごとを思いだした。昨夜彼は、この女を護って、野毛山のバラックに泊った。女は、例の手をしきりに痛がっていたので、そこにあった救護所で手当を受けさせた。その後でも女は、なおも苦痛を訴え、そして熱さえ出てきた様子であった。彼は到底このままにはして置けぬと思ったので、救護所の人に、どこか寝られるところはないかと尋ねた。すると、それならこの裏山にあるバラックへ行けと教えられた。

彼は女につきそって、バラックに入れられた。