Japanische Klassiker mit Furigana
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つばきのはなのあか
椿の花の赤
豊島 与志雄
Lesen Sie 椿の花の赤 (つばきのはなのあか) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.755 Zeichen · 22 Bildschirme
「君が酔ってるのは珍らしいね。李永泰にでもかぶれたのかい。」
「李が何か……先生に頼むとか云ってましたが、あれはやめて下さい。」
「やめるって……何をだい。」
「先生を媒妁人にするんだと云ってました。」
「ははは、それはよかろう。大いにやるよ。」
別所は、ひどく悄気たようで口を噤んだが、やがてきっぱり断言した。
「然し、私は結婚はしません。」
少し話が変なので、よくきいてみると、別所と野田沢子との結婚には私を媒妁人に立てるんだと、李が一人できめているのであった。
「私は何もかもやめたんです。」と別所は云った。
「それはおかしいじゃないか。恋愛から結婚に行くのは、当然のコースだろう。」
「私は彼女がきらいです。なにも、処女でなければならないということはありません。然し、一度妊娠して流産したような女はいやです。また、やたらに妊娠するような女はいやです。」
なんだか捨鉢な調子だった。それをいろいろ敷衍さしてみると、結局、野田沢子は嘗て或る男と同棲したことがあり、それは構わないが、妊娠して流産したこともあるらしいという、その「らしい」を確定的なこととすれば、他の男との関係で妊娠したような女には生理的に反撥を覚ゆるというのである。