Japanische Klassiker mit Furigana
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ようせんせい
楊先生
豊島 与志雄
Lesen Sie 楊先生 (ようせんせい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.772 Zeichen · 10 Bildschirme
愉快ですよ。」
近所が空襲のために焼けて、瓦斯がとまってからのことらしいのである。
「更に空襲がはげしくなって、災害も大きくなったら、こんどは、水道もとまるようになるでしょう。町会からそのようなことも言ってきました。そうしたら、私は、水汲みもやろうと思いますよ。朝から夕方まで、水を汲む、薪を割る、竈の火を焚く、つまり、自分の家に下男奉公をするのです。そうすることによって、労働の味を覚えます。そればかりでなく、野菜も作ってみようと思っています。野菜畑にする場所を見廻っていますと、思わぬところに、今まで知らなかった草や木を発見します。そうすると、その草や木に愛着を覚えて、日当りのよい場所に移し植えてやりたくなります。そのようないろいろなことで、一日中、忙しく働かねばなりません。また、働くのが楽しみになります。」
私は彼の真面目な表情を見た。
「一種の道楽ですね。」
「そう、戦争中の健全な道楽かも知れません。いったい、高度な文明は、決して断水しない水道とか、決して停電しない電気とか、決してとまらない瓦斯とか、そういうものを主張しますが、やはりわれわれには、時々断水する水道や、時々停電する電気や、時々出なくなる瓦斯などの方が、なにか親しみがあって、いいようです。