Japanische Klassiker mit Furigana
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たてごし
楯輿
山本 周五郎
Lesen Sie 楯輿 (たてごし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.377 Zeichen · 17 Bildschirme
うむといったきりやや暫く返辞がなかった。「……昨日ここへまいると云ったのはその話か」「さようでございます」「……あまり突然すぎるではないか」「いいえ決して突然ではございません、わたくしとしては半年ほどまえから考えていたことでございます」「……そのほうとしてはそうだろうが、話を聞くこのほうとしては突然すぎるというのだ」「それはいつ申上げてもおなじことではございませんか、少しずつ小出しに申上げるというわけにもまいりませんし……」そのとおりである。勘兵衛はにがい顔をしていたが、やがて「考えて置こう」と答えた。与八郎はそれで満足したらしく、会釈をして座をすべったが、ふと思いだしたように、「……お断り申しておきますが、ご息女を頂戴にまいったからとて昨日のお説に服したわけではございません、それだけははっきりお断り申します」そう云って、さっさと辞去していった。まえにも記したとおり長尾は三千五百石の老臣だし、与八郎は僅かに槍組の三十人がしらにすぎない、しかも満座のなかで口論をした翌日、堂々と乗りこんで自ら縁談を申し入れた。豪快といえばいかにもかれらしく豪快であるが、その胆の太さには清洲城の人々すべてが呆れた、――やるなあと痛快がる者もあり、――たいへんなやつだと舌を巻く者もいて、神原与八郎という存在がにわかに大きく浮き