Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme
「私がそんな人間だと思うんですか」と丹三郎が云った。
宇乃はそっと湯殿のほうを見やった。湯殿では温泉の落ちる音が、かすかに聞えるだけで、そこに甲斐がいるとは信じられないほど、ひっそりとしていた。宇乃は仕切りの厚い杉戸を見やったまま、いつまでも答えようとしなかった。
「貴女は私をそんな人間だと思うんですか」と丹三郎はまた云った。
宇乃は「いいえ」とかぶりを振った、「わたくし父や母のことがあってから、この世ではいつなにがあるかわからない、現に眼の前にあることしか信じられない、と思うようになりましたの」
「つまり私も信じられないというのですね」
「あなたがどういうお方か、わたくしよく知っているつもりです、そのうえずいぶんお世話になっていますわ」と宇乃は云った、「おばさまにも御迷惑をおかけしましたし、あなたには特に、良源院からかどわかされようとしたときなども、危うく助けて頂いたりしました、そのほかにもいろいろ御厄介になって、お礼の申上げようもないくらいですけれど、でも、わたくしのこの気持を変えることはできませんの」
丹三郎は唇を噛み、いちど眼を伏せたが、また彼女を見て、「宇乃さん」