Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme
「待って、ね、待って新さん」
「そばへ寄るな」と新八は叫んだ、「三年まえ、あんたは私をむりやり自分のものにした、あのときから私の性根は腐ってしまった、いまではもう、まともな生きかたなんかできやしない、われながらあさましいほどだめな人間になってしまった、三年まえのことを忘れたかとは、私のほうで云うことだ」
おみやは泣きだした。袂で顔を掩い、崩れるように坐って、そして声をひそめて泣いた。
「あたしが悪かったわ」と泣きながらおみやが云った、「堪忍して、新さん、堪忍してちょうだい」
「いくらでも泣くがいい」と新八は云った、「もう泣かれるぐらいのことでごまかされはしないんだ」
「あたしあやまるだけよ」とおみやが云った、「あたし自分のことしか考えなかった、新さんとお久米さんのことを聞いて、気が狂いそうになっていたのよ、それだから夢中であんなことを云ったんだけれど、新さんに云われるまでもなく、自分が悪いということはよく知っているわ」
「いつもそれで騙されるんだ」
「あたしあんたを騙して」とおみやは声をふるわせた、「いちどでもあんたを騙したことがあって、新さん、それはあんまりよ」