Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme
どうして困るのか、その理由がわかればどこで見た女かということもわかる筈だ、と甲斐は思った。
雅楽頭は滝尾をそばにひきつけ、給仕をさせながら、女のやわらかくくびれた顎を撫でたり、着物の上から胸乳を押えたりした。磊落を気どっているのでもなく、豪放をみせかけるのでもない。ごくしぜんであるし、少しもみだらがましい感じがない。好むままを自由に楽しんでいるという、いかにも寛濶な態度であった。
「一ノ関では六カ条をどうされるのだ」と雅楽頭が云った、「先日また殿中で柳川(立花忠茂)に督促されたが、もういいかげんに承知してはどうだ」
「そのつもりでおります」
「大学へ土産にくれてやれ」と雅楽頭は云った、「六十二万石の仕置を任されながら、結局、彼のしたことは六カ条の問題だけだ、罷免する土産にくれてやるがいい」
「私もそうするつもりでいたところです」と兵部が答えた。
「どうも仙台はうるさい」と雅楽頭は云った、「仙台びとの我の強いのと倨傲にはうんざりする、平穏だという状態は半年とつづかず、いつもなにかしらごたごたを起こし、互いに相手を凌ごうといきりたつ」
雅楽頭は滝尾の胸のふくらみを撫でながらつづけた。