Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme

Aozora Bunko

かつて兵部宗勝が、二度この小屋を訪ねて来た。小屋へは人を近よせないことになっているのだが、兵部は分家の威光でむりに山へ登った。そのとき与五兵衛は礼をしなかったばかりでなく、兵部の眼の前で、さもいまいましそうに唾を吐いたりした。

「そうか、もう七年になるか」と周防が云った、「与五はいつ見ても年をとらない、七年まえと少しも変ったところがないな」

与五兵衛は黙っていた。

彼はなにも聞えなかったように、獣肉を刺して炉の灰に立ててある金串を取り、脇に置いてある壺の中のたれに浸し、それをまた炉の灰に立てるという動作を、つぎつぎと、緩慢な手つきで繰り返した。金串に刺した肉は、炉の火に焙られて、肉汁と脂とたれの、入混って焦げる、いかにも美味そうな匂いをふりまいていた。

「なんの肉だ、猪か」と周防が訊いた。

与五兵衛は「んだ」と頷き、喰べるかと訊き返した。

「朝餉を済まして来たばかりだ、あとで馳走になろう」と周防は云った、「誰の獲物だ、与五か」

与五兵衛はまた口をもぐもぐさせ、おらの殿さまは鹿のほかに手を出さない、と不満そうに云った。

「おらは殺生は嫌いだ」と与五兵衛は云った、「熊や猪は悪さをする、作物を荒したり、人に襲いかかったりする。