Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme
「桑の若葉と乾した枸杞の実がはいっている、与五がおれのために作ってくれるんだ」
「薬用だな」と周防が云った。
「長命をするそうだ」
周防は口をつけて、ひと口だけで、茶碗を置いた。二人ともしばらく黙った。
「律のことは、父からの手紙で知った」とやがて周防が云った、「去年、涌谷さまと三人で話したとき、船岡はわれわれが離反しなければならぬと云った、一ノ関の眼を、私と船岡からそらすために、単に不和になるだけでなく、かたちのうえでも、離反しなければならぬと云った」
甲斐は黙っていた。
「律を離別したのはそのためだと、父は思っているようだが、事実そうなのかどうか聞いておきたい」
「その話しは断わる」と甲斐はにべもなく云った。
「断わるって、なぜ」
「済んだことだ」と甲斐は云った。
周防は口をつぐみ、さぐるような眼で、ややしばらく甲斐をみつめた。甲斐は長い金火箸を取って、燃えている炉の火を直した。彼の額に深く、三筋の皺がよった。
「松山の留守の者からの知らせによると、世間では律が不義をして戻された、と云っているそうだ、その相手は中黒達弥ともう一人だと、相手の名まで出ているそうだが」