Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme
「私は米谷(柴田外記)どのから事情を聞いたのだが、年が明けると一ノ関が帰国する、そのとき大学は、一ノ関に膝詰めで六カ条の申しいれをするといきまいているそうだ」
「六カ条とは」甲斐が眼をあげた。
「ここに書いて来たが」
周防は紙入の中から一通の封書と、一枚の覚書をとり出し、覚書のほうを披いて、甲斐の前に置いた。甲斐は手に取らず、躯を傾けて読んだ。
一、相定め候制札の事、(切支丹制札は格別の事)
一、夫伝馬並に宿送りの事
一、大鷹の事
一、初鳥、初肴、公方様へさしあげ候事
一、他国へ人返しの事
一、境目通判の事
右のようなものであった。
「一ノ関が帰国のときというと、まだ申しいれてはいないのか」
「一度は申しいれたようだ」と周防が云った、「しかし一ノ関は、自分は幕府直参であるから、本藩の掟にしたがう必要は認めない、と答えたということだ」
「それは膝詰めでやっても同じことだろう」
「そのときは江戸へ出て、幕府老中に訴えるつもりでいるらしい」
甲斐は剃刀の刃へ、拇指の腹をそっと触れてみた。それから手を拭き、剃刀をしまって、砥石や半※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)を片づけた。