Japanische Klassiker mit Furigana
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きみつのみわく
機密の魅惑
大倉 燁子
Lesen Sie 機密の魅惑 (きみつのみわく) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.394 Zeichen · 37 Bildschirme
笹屋というのは当地では一流の茶屋でございます。有喜子はそこの内芸者で、去年夫が赴任いたしましたのと殆ど同じ頃にハルピンから流れてまいった女でございます。素性はよく分りませんが、妖婦型の凄い手腕を有っていると専ら評判をいたして居ります。
背が五尺四寸もあるので洋装がよく似合います。睫毛が長いせいか、それでなくても黒眼勝の大きな眼が一層真黒に見えるのです。青味がかかった皮膚に真黒い眼だけでも何となくひやりとした感じがいたすものですわね。それに肉のないすうッとした高い鼻というものはまた温味にとぼしいものでしょう。西洋人のようでいい格好と云えば云えますが、そういう眼鼻だちのせいか、口許などの可愛らしい割にどうも顔全体の感じは冷たさを通り越して、残忍性を帯びているようにさえ見えるのです。しかしこの位整った顔はまずちょっとないでしょう。彼女は確に美人には違いありません。少なくとも外形だけは非常に美しいのですから。
御承知の通り、私は子供の学校の都合で一年ばかり遅れて夫の任地へまいりましたでしょう。その間に夫の魂はすっかり有喜子に浚われてしまっていたんですの。