Japanische Klassiker mit Furigana
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きかい
機械
横光 利一
Lesen Sie 機械 (きかい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.553 Zeichen · 41 Bildschirme
だとばかり思っている人間の集りだから黙っているより仕方がないと思っていた。全く使い道のない人間というものは誰にも出来かねる箇所だけに不思議に使い道のあるもので、このネームプレート製造所でもいろいろな薬品を使用せねばならぬ仕事の中で私の仕事だけは特に劇薬ばかりで満ちていて、わざわざ使い道のない人間を落し込む穴のように出来上っているのである。この穴へ落ち込むと金属を腐蝕させる塩化鉄で衣類や皮膚がだんだん役に立たなくなり、臭素の刺戟で咽喉を破壊し夜の睡眠がとれなくなるばかりではなく頭脳の組織が変化して来て視力さえも薄れて来る。こんな危険な穴の中へは有用な人間が落ち込む筈がないのであるが、この家の主人も若いときに人の出来ないこの仕事を覚え込んだのも恐らく私のように使い道のない人間だったからにちがいないのだ。しかし、私とてもいつまでもここで片輪になるために愚図ついていたのでは勿論ない。実は私は九州の造船所から出て来たのだがふと途中の汽車の中で一人の婦人に逢ったのがこの生活の初めなのだ。婦人はもう五十歳あまりになっていて主人に死なれ家もなければ子供もないので東京の親戚の所で暫く厄介になってから下宿屋でも初めるのだという。