Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
」
「今日は、あいにく、旦那が留守で、私じゃどうにもなりませんがね。」
と仙吉は、うわべは恐縮しながら、その中にどこか突っぱなすような調子をこめて答えた。――俊亮は実際留守だったのである。
「旦那がお留守でも、お酒はあるんでしょう。」
「そりゃ、あるにはありますが、何しろ――」
「何しろ、どうなんですの。お酒があれば下さりゃいいじゃありませんか。」
「それが実は……」
「ふふ。この暑いのに、何しろ、と実はを聞きに来たんじゃありませんよ。上酒一斗正に預り候也、――ほれ、この通りちゃんと預証をもって来ているんじゃありませんか。私は、お預けしたお酒を受取りに来たまでなんですがね。」
女は、帯の間から引き出した書付をひろげて、仙吉のまえに突き出した。
仙吉はちらとそれに眼をやったが、すぐそっぽを向いてしまった。
「おや。」
と、女は、その大きな腹を突き出すようにして、少しのけぞりながら、じっと仙吉の横顔を見すえていたが、
「お前さん、まさか、知らん顔をしようというのではないでしょうね。これはお酒の預証なんですよ。上酒一斗を、こちらのお店で預り下すったその証拠なんですよ。