Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
それは、他人に対する義理人情にばかり気をとられて、かんじんの自分の親子に対する義理人情を忘れていたということだ。」
「父さん!」
と、次郎はしぼるような声で叫んで、涙にぬれた顔をあげた。
「いや、忘れていたと言っちゃあ、言いすぎるかも知れん。実際忘れちゃいなかったんだからね。しかし、忘れたような顔はたしかにしていた。忘れたような顔をしていりゃあ、みんな自分と同じようにのんきになってくれるだろうぐらいの考えが、どっかにあったんだ。今から考えると、それがいけなかった。それが私の間違いだった。自分では強いつもりで、実はそれが私の非常に弱いところだったんだ。」
俊亮がそんな調子でものを言うのは珍しかった。次郎は、いくぶんかわきかけた眼を見張って、俊亮を見つめた。
「しかし、今日からは父さんも考え直す。考え直してみたところで、貧乏が急にどうにもなるものではないが、これまでのように、お前たちの苦労を忘れているような顔はしないつもりだ。日除の必要のある草木には、やはり日除をしてやる方がいいんだからね。」
次郎は、何か痛いものを胸に感じて、思わず首をたれた。
彼は、しかし、それよりも、さっきからの俊亮の言葉に、ある不安を感じ、それを問いただしてみたくなっていた。