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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme

Aozora Bunko

少くとも、僕と祖母とに関する限り、破壊が妥協よりもまさっているとは決していえないようだ。それは、破壊がはっきりと建設を約束してくれないばかりでなく、僕自身の気持において何か忍びないものを感ずるからだ。……これは、僕の心のどこかに卑怯の虫が巣食っているせいだろうか。或はそうかも知れない。しかし僕としては、今はほかに行く道はないようだ。考えてみると、祖母もみじめだが、僕もそれに劣らずみじめなのだ。呪われたる運命よ。」

次郎の日記は、かように、お祖母さんとの問題になると、とかく同じところをぐるぐるまわって、落ちつきのない感傷に終り、運命を呪ってみたりする。それだけに、お祖母さんが依然として彼の心に一つのしみを与えていたことはたしかである。しかし、それも、今では彼の生活そのもののしみというよりは、もっと現実をはなれた、いわば思索の祭壇に捧げられた黒い花束みたようなものだったのである。事実、彼の日々の生活は、お祖母さんに愚痴を聞かされるわずかの時間をのぞけば、「呪われた運命」などとはおよそ縁の遠い、のびのびとしたものであった。お祖母さんとの関係について日記に感傷的な文句をつらねている時でさえ、彼は、それに悩まされて暗い気持になっているというよりは、むしろ道義の世界における探検者としてのある喜びを感じていたかのよう