Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
それは、兄の方は大学の制服をつけていたからにちがいなかった。しかし、妹の方については、なぜだか次郎自身にもはっきりしなかった。同じ年頃――十五、六歳――の着飾った娘はほかにも二三人いたし、顔立にしても、その中で特に目立っていたというのでもなかったが、次郎の眼にはふしぎに彼女の顔だけがはっきり映ったのである。ただ、これは次郎があとになってそんな気がしたのであるが彼女の顔はどこかで見たことのあるような顔だった。少くとも、どこかで見たことのある顔に似ている顔だった。それが一眼で彼女の顔を次郎に印象づけた理由だったかも知れない。次郎自身でも、式がすんだあと、数日の間、たびたび彼女の顔を思いうかべているうちに、そういうことにきめてしまったらしいのである。
さて、それはそれでいいとして、次郎はなぜそうたびたび彼女の顔を思い出さなければならなかったのか。それについては、彼自身少しも考えてみようとはしなかった。そしてそこに運命のいたずらな、――或は摂理の不可思議な――奥の手があったのかも知れない。
道江――それが彼女の名であった――は、女学校の二年に通っていた。