Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
むろん、彼がこうした戦いを戦いぬく力は、彼自身の内部だけにあったとは言えない。もし、彼を里子として育ててくれた乳母のお浜の、ほとんど盲目的だとも思われるほどの芳醇な愛や、彼の父俊亮の、聰明で、しかも素朴さを失わない奥深い愛が、いつも彼の背後から彼を支えていてくれなかったならば、そして、また、彼が物心づくころから、しばしば入りびたりになり、あとでは、生家の没落のために、ただ一人その家に預けられさえした正木一家――母の実家――ののびのびとした温い空気が、彼を包んでいてくれなかったならば、彼の求めてやまない魂も、あるいは何かの機会にひしゃげてしまっていたのかもしれない。人間は、全然食物のないところでは生きることが出来ず、全然光のない世界では物を見ることが出来ないと同様、全然愛のない世界では希望をつなぐことが出来ないものなのである。彼が、怒り、泣き、悲しみ、そして疑いつつも、ともかくも内なる生命の火をかきたてて生きる望みを失わなかったのは、そうした愛の支えがあったればこそである。そしてその点では、彼は恵まれすぎるほど恵まれた子供であったともいえるであろう。