Japanische Klassiker mit Furigana
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うたのうるおい
歌の潤い
伊藤 左千夫
Lesen Sie 歌の潤い (うたのうるおい) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.665 Zeichen · 10 Bildschirme
極めて漠然とした概念から差別して考えて見ると、味いをもって勝ってる佳作と、要素をもって勝ってる佳歌との差別は考えられる。ここに云う味いは、芸術組成上の諸種の要素の、調合融合上から起る味いを云い、要素とは芸術組成上に必要なる、思想材料言語句法の各要素を云うのである。勿論その要素それ自身に、各その味いがあるのであるから以上の如き差別は、仮定の上に概括して云うことであるけれども、大別して云うならば、味いをもって勝ってる佳作と、要素をもって勝ってる佳作と、概括した差別は云うことが出来る訳である。
これを食物に譬えて云えば、諸種の材料を混和した調味と、刺身の如き焼肉の如き、材料その物の味いとの如きものである。人為の勝った味い、自然の勝った味いとの差である。
でこれを云い換えて見ると、情調的の歌は味いをもって勝り、思想的材料的の歌は要素をもって勝ると云えるのである。結局味いという詞の解釈上に起れる仮定の差別に過ぎないので、味いは無くても面白い歌という事は、味いということを、ある意味に極限した上から出た批評に過ぎないのであろう。
こう考えてくると味いのあるという事と潤いのあるという事とは、その意味の内容に殆ど相違は無いように思われる。