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Japanische Klassiker mit Furigana

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うたあんどん

歌行灯

泉 鏡花

Lesen Sie 歌行灯 (うたあんどん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.094 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「止しなさい、これを読むと胸が切って、なお目が冴えて寝られなくなります。」

「何を言わっしゃる、当事もない、膝栗毛を見て泣くものがあろうかい。私が事を言わっしゃる、其許がよっぽど捻平じゃ。」

と言う処へ、以前の年増に、小女がついて出て、膳と銚子を揃えて運んだ。

「蛤は直きに出来ます。」

「可、可。」

「何よりも酒の事。」

捻平も、猪口を急ぐ。

「さて汝にも一つ遣ろう。燗の可い処を一杯遣らっし。」と、弥次郎兵衛、酒飲みの癖で、ちとぶるぶるする手に一杯傾けた猪口を、膳の外へ、その膝栗毛の本の傍へ、畳の上にちゃんと置いて、

「姉さん、一つ酌いでやってくれ。」

と真顔で言う。

小女が、きょとんとした顔を見ると、捻平に追っかけの酌をしていた年増が見向いて、

「喜野、お酌ぎ……その旦那はな、弥次郎兵衛様じゃで、喜多八さんにお杯を上げなさるんや。」

と早や心得たものである。

八

小父者はなぜか調子を沈めて、

「ああ、よく言った。俺を弥次郎兵衛は難有い。居心は可、酒は可。これで喜多八さえ一所だったら、膝栗毛を正のもので、太平の民となる処を、さて、杯をさしたばかりで、こう酌いだ酒へ、蝋燭の灯のちらちらと映る処は、どうやら餓鬼に手向けたようだ。