Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うたあんどん

歌行灯

泉 鏡花

Lesen Sie 歌行灯 (うたあんどん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.094 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

ははあ、夫婦二人のこの店、気の毒千万、御亭が出前持を兼ねると見えたり。

「裏表とも気を注けるじゃ、可いか、可いか。ちょっと道寄りをして来るで、可いか、お方。」

とそこいらじろじろと睨廻して、新地の月に提灯入らず、片手懐にしたなりで、亭主が出前、ヤケにがっと戸を開けた。後を閉めないで、ひょこひょこ出て行く。

釜の湯気が颯と分れて、門附の頬に影がさした。

女房横合から来て、

「いつまで、うっかり見送ってじゃ、そんなに敵が打たれたいの。」

「女房さん、桑名じゃあ……芸者の箱屋は按摩かい。」と悚気としたように肩を細く、この時やっと居直って、女房を見た、色が悪い。

十

「そうさ、いかに伊勢の浜荻だって、按摩の箱屋というのはなかろう。私もなかろうと思うが、今向う側を何んとか屋の新妓とか云うのが、からんころんと通るのを、何心なく見送ると、あの、一軒おき二軒おきの、軒行燈では浅葱になり、月影では青くなって、薄い紫の座敷着で、褄を蹴出さず、ひっそりと、白い襟を俯向いて、足の運びも進まないように何んとなく悄れて行く。……その後から、鼠色の影法師。女の影なら月に地を這う筈だに、寒い道陸神が、のそのそと四五尺離れた処を、ずっと前方まで附添ったんだ。