Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うたあんどん

歌行灯

泉 鏡花

Lesen Sie 歌行灯 (うたあんどん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.094 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

……格子前へ流しが来ました。

新町の月影に、露の垂りそうな、あの、ちらちら光る撥音で、

……博多帯しめ、筑前絞り――

と、何とも言えぬ好い声で。

(へい、不調法、お喧しゅう、)って、そのまま行きそうにしたのです。

(ああ、身震がするほど上手い、あやかるように拝んで来な、それ、お賽銭をあげる気で。)

と滝縞お召の半纏着て、灰に袖のつくほどに、しんみり聞いてやった姉さんが、長火鉢の抽斗からお宝を出して、キイと、あの繻子が鳴る、帯へ挿んだ懐紙に捻って、私に持たせなすったのを、盆に乗せて、戸を開けると、もう一二間行きなさいます。二人の間にある月をな、影で繋いで、ちゃっと行って、

(是喃。)と呼んで、出した盆を、振向いてお取りでした。私や、思わずその手に縋って、涙がひとりでに出ましたえ。男で居ながら、こんなにも上手な方があるものを、切めてその指一本でも、私の身体についたらばと、つい、おろおろと泣いたのです。

頬被をしていなすった。あのその、私の手を取ったまま――黙って、少し脇の方へ退いた処で、(何を泣く、)って優しい声で、その門附が聞いてくれます。もう恥も何も忘れてな、その、あの、どうしても三味線の覚えられぬ事を話しました。