Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うたあんどん

歌行灯

泉 鏡花

Lesen Sie 歌行灯 (うたあんどん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.094 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

「世の中にゃ、こんな炭火があると思うと、里心が付いてなお寒い。堪らねえ。女房さん、銚子をどうかね、ヤケという熱燗にしておくんなさい。ちっと飲んで、うんと酔おうという、卑劣な癖が付いてるんだ、お察しものですぜ、ええ、親方。」

「へへへ、お方、それ極熱じゃ。」

女房は染めた前歯を美しく、

「あいあい。」

四

「時に何かね、今此家の前を車が二台、旅の人を乗せて駈抜けたっけ、この町を、……」

と干した猪口で門を指して、

「二三町行った処で、左側の、屋根の大きそうな家へ着けたのが、蒼く月明りに見えたがね、……あすこは何かい、旅籠屋ですか。」

「湊屋でございまさ、なあ、」と女房が、釜の前から亭主を見向く。

「湊屋、湊屋、湊屋。この土地じゃ、まああすこ一軒でござりますよ。古い家じゃが名代で。前には大きな女郎屋じゃったのが、旅籠屋になったがな、部屋々々も昔風そのままな家じゃに、奥座敷の欄干の外が、海と一所の、大い揖斐の川口じゃ。白帆の船も通りますわ。鱸は刎ねる、鯔は飛ぶ。とんと類のない趣のある家じゃ。ところが、時々崖裏の石垣から、獺が這込んで、板廊下や厠に点いた燈を消して、悪戯をするげに言います。