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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶこうざんにのぼる

武甲山に登る

河井 酔茗

Lesen Sie 武甲山に登る (ぶこうざんにのぼる) von 河井 酔茗 (かわいすいめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.273 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

全山殆ど岩石の途で、足袋裸足となった自分は足の裏の痛いこと夥しい。M氏はどこまでも駒下駄を脱がない。

漸く草原を魚貫して、稍平な途へ出た時には、武甲山の裏へ廻ったので、今まで高いと思っていた連山は、悉く下になり遠く山脈の彼方に浅間の烟を見出した時は思わず高いと叫んだ、併し未だ頂上ではない。

いままで登ってきた山は山の一段であって、更に巌石が草原の海に、処々島のように表われて居る山腹を攀じて、上の峰まで行かねばならぬ。幸い千年の大木は、悉く伐り倒されてあるから路は明るい。此辺はいまでも春さきの雪の消える時分、秩父の奥から峰つづきに猿の群が遊びに来るそうだ。木の伐られなかった頃は猪や狼が出てきたのは無論、今でも兎位は居るらしい。倒れて居る太い木の幹を踏み越え、痛い草の刺を分け、辛うじて武甲山の絶巓に達した時は、天地ぐらぐらとして、今にも太古から動かないでいる大きな蒼い波の上に漂わされそうに思った。

不思議なる山上の世界、地平線か水平線の外は見なれない眼に、いま映るは全く曲線の世界で、濃淡はあっても只一つの蒼い色の曲線が重なり合い、延び合い、眼の下から天際まで少しも平かな地上を見ない。