Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶこうざんにのぼる
武甲山に登る
河井 酔茗
Lesen Sie 武甲山に登る (ぶこうざんにのぼる) von 河井 酔茗 (かわいすいめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.273 Zeichen · 7 Bildschirme
われらは冥想する間も、黙契する暇も与えられない、降りに降った、歩きに歩いた、既に疲労を感じいる一行は、更に不安に襲われた、就中M氏は困憊の極に達したかの如く、もう休もうと云っては、処きらわず草原の上に仰向に倒れて了う。日も暮よ、夜も来よと自暴の気味であるが私もかなり疲れて居るから励ます言葉も出ない。只どうにかして例の丈なす草に埋れた峻坂を下る間だけなりと、暗黒にしたくない。彼の草原さえ抜けて了えば何とか方法があるだろうと心ばかり急ぐが、と云って怪我をしてもならぬので夕暮のほの明りに三人とも声を掛合っては草おし分けて無暗に進んだが、毎に先頭をしているT氏はもう何うしても暗くて途が分らぬと言いながら佇立った。若し此時T氏が、西洋蝋燭を用意(鍾乳洞へ入る時にと思って携えて来たもの)していなかったら、吾等三人の一行は殆ど進退谷ったであろう。幸にも一挺の用意があったので、氏は之に点火した。空は殆ど暮切っている。一道の火光はあきらかに三人を導いた。最もはだか蝋燭だから半紙で囲を作って、左手に高く捧げては、此処は曲りだ、大きな石がある、すべるぞ、と絶えず種々な掛声をして先に立つT氏の労は普通ではない。