Japanische Klassiker mit Furigana
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しのよこく
死の予告
野村 胡堂
Lesen Sie 死の予告 (しのよこく) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.149 Zeichen · 34 Bildschirme
恥を言わなければ解らんが、その日私は、一人の女を葬ったのだ。葬ったと言うと語弊があるが、仔細あって捨ててしまったのだ。今となっては後悔もして居るが、その時は青年の客気で、女一人の骸を横たえる位の事は何んとも思っては居なかった――
簡単に言うと、海原伯爵家の次男に生れた私が、ある許されない女と、神戸へ逃げて世帯を持って居たことがある。一時は愛しも愛されもした女だが、境遇が悪かったかそれとも遺伝のためか、神戸へ行ってから重症のヒステリーに罹って、どうにも手の付けようが無い。つくづく困り抜いて居るところへ、折も折、東京の海原家から、跡取りの兄が死んだから、早速私に帰って来て相続をしろと言う使いだ。貧苦には疲れ切って居る私だから、直ぐにも飛んで帰り度いが、その時同棲して居た女が一緒では、親類や母親の手前、東京の本家へ帰るわけに行かない。仕方が無いからまるで気違いのようになって居る女を捨てて、私は永久に神戸の仮住居から姿を晦ましてしまった。それが、丁度二十三年前の三月三日であった。私は知っての通り用心深い性質で、女に自分の本当の素性を明さなかった。そのために、そうでなくてさえ気の変になって居る女は、私を追駆けて来ることさえ出来なかったらしい。