Japanische Klassiker mit Furigana
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しのぜんご
死の前後
豊島 与志雄
Lesen Sie 死の前後 (しのぜんご) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.273 Zeichen · 35 Bildschirme
静葉がただ笑ってると、坪井は、自分が島村を好く理由を話しだした。――まだあの事件以前のこと、彼は島村の彫刻を見たことがあった。その中に、女の胸像が一つあって、少しグロテスクだが、人間的な審美感をぬきにした物質的な動物的な肉体そのものの温みがよく出ていた。島村にもそういう嗜好があるらしい。その頃から彼は島村を知っている、というのだった。
「どうだい、島村さんには、ひどく人情深い善良なところと、ひどく人間離れのしてる冷いところとが、いっしょにまじっているだろう。」
「あなたも、そうらしいわね。」と静葉は答えた。
「ああ、それが僕の悩みだ。その悩みを感じない島村さんは、実際幸福だなあ。」
そして坪井は、またしげしげと島村の顔を眺めるのだった。その視線の前に、島村はもうすっかり自分をなげだすだけの親しみがもてた。