Japanische Klassiker mit Furigana
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しんだちどり
死んだ千鳥
吉川 英治
Lesen Sie 死んだ千鳥 (しんだちどり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.539 Zeichen · 32 Bildschirme
けれど金子は、明朝御出立のまぎわ迄に、必ずお手許まで届けさせます故、家事など此儘、後顧なく御上洛くださいまし。
五月、御吉報の矢文を、東の空でひたすらお待ち申してのみ暮しております。委細はやがて分る日が参りましょう。
すみえ
旦那さま
ゆうべ客の帰らぬ間に、転寝した儘だったので、賛五郎は夜明け方に、もう眼をさました。
――ふと、枕元の水差へ手をのばしかけると、盆の端に、この置手紙があったのである。
『あっ、では一途に。……ば、ばかな、何の的があって!』
刎ね起て、彼は何という事もなく、家の中を歩き廻った。
新しく染めた小紋の着物がない。頭巾もない。――やはり外へ出て行ったに違いない。
『世間見ずが、世間へ出て、しかも、大枚の金策をして来ようなどとは、愚も甚しい。金というものが、そんな単純な物なら、何も苦労をする人間はない。――墨江にはまだ、ほんとの貧乏も金の恐さも分っていないのだ。――馬鹿、馬鹿め』
壁へ向って、賛五郎は罵った。
磯辺の貝や小魚に戯れていた子が、興にうかれて沖へ遠く歩み出して行ったような――愛するが故の怒りが――堪らない不安になって賛五郎の胸を躁がせた。