Japanische Klassiker mit Furigana
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しんだちどり
死んだ千鳥
吉川 英治
Lesen Sie 死んだ千鳥 (しんだちどり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.539 Zeichen · 32 Bildschirme
『はての? ……。年齢は』
『ちょうど、旦那様ぐらいなお年頃で、背は、もちっと高く、薄あばたが顔にあって、ずんと、田舎くさいお武家でござりましたが』
『えっ、薄あばたのあるわし位な年頃の侍だと。して、袖の紋は』
『御紋は気がつきませんでしたが、言葉の訛りが、何処やら旦那様のお話し振とよう似ておりましたが』
『あっ……』愕然としたように――然しさりげなく、
『そうか、いや有難う』
賛五郎は半町ほど夢中で歩いていた。
(大牟田公平だ。――薄あばたがあって熊本訛りのある同じ年頃の侍といえば、あの公平に相違ない!)
暴風のように、種々な想像がわき上ってくる。
機も機でもある。
『……さては、いつの間にか、彼奴と文通を交して、再び元の男の手へ逃げ帰ったのではあるまいか』
そう邪推もできるし、
『いやいや、彼女に限って』
と、今朝の置手紙の真心らしい文言を思い出したり、日頃の墨江を考えて打ち消してもみる。
然し、どっちにしても、かねがね彼のまま指を咥えて黙視しては居まいと考えていた大牟田公平が、出府して、自分たち夫婦の居所を突きとめているからには、これはもう、無言の果し状をつけられているのも同様である。