Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しかばねをくうおとこ
死屍を食う男
葉山 嘉樹
Lesen Sie 死屍を食う男 (しかばねをくうおとこ) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.482 Zeichen · 16 Bildschirme
安岡は這うようにして進んだ。彼の眼をもしその時だれかが見たなら、その人はきっと飛び上がって叫んだであろう。それほど彼は熱に浮かされたような、いわば潜水服の頭についているのと同じ眼をしていた。
そして、その眼は恐るべき情景を見た。
それは筆紙に表わし得ない種類のものであった。
深谷は、一週間前に溺死したセコチャンの新仏の廓内にいた!
彼のどこにそんな力があったのであろう。野球のチャンが二人でようやく載っけることができた、仮の墓石を、深谷のヒョロヒョロな手が軽々と持ち上げた。
その石をそばへ取り除けると、彼は垣根の生け垣の間から、鍬と鋸とを取り出した。
鍬は音を立てないように、しかしめまぐるしく、まだ固まり切らない墓土を撥ね返した。
安岡の空な眼はこれを見ていた。彼はいつの間にか陸から切り離された、流氷の上にいるように感じた。
深谷は何をするのだろう? そんなにセコチャンと親密ではなかった。同性愛などとは思いもよらない仲であった。ほとんど一度も口さえ利いたことはなかった!
軟らかい墓土はそばに高く撥ねられた。そして棺の上はだんだん低くなった。深谷の腰から下は土の陰に隠れた。